オオマツヨイグサの思い出

お母(かあ)は今の季節になると思い出す、小学生の頃の出来事があるんだよ。
お母(かあ)んちから数キロ離れた場所に、あの時代にあの辺りでは珍しい鉄筋3階か4階建ての建物が建っていて、その建物はそこの土地で牧場を営んでいた農家の所有物なんだけど、留守にしていることが多いから、お母(かあ)が幼少期の頃に兄(あん)ちゃんたちに連れられて見に行ったことがあるんだって。だけど、あまりに小さい時のことだから、兄ちゃんに背負われてそのビルのような建物に入ったおぼろげな記憶しか残っていないんだ。
それから何年か後、お母(かあ)が五年生位の時だったかなぁ〜?。その頃にはその建物もすっかり無人で廃屋になりかけていて、広い牧場の中にポツンと建っているその白いビルのような建物は、遠目にも目立っていて好奇心旺盛な子供たちにとって、とても魅力的に見えたんだって。誰が「行こう!」って言いだしたのか…覚えていないけど、同級生数人で探検に行くことにしたんだよ。みんなワクワク*1気分で初めての道も楽しくて…ただ、あんなに近く見えていた建物なのに歩いても歩いてもたどり着けなくて…ようやく到着した頃にはお日様が蔵王の山並に隠れ始めていたんだって。シーンとしたビルの中を覗くと(( ̄_|螺旋(らせん)階段が見えて、恐る恐る階段を昇って部屋を覗くと(( ̄_|ボロボロになってスプリングが剥き出しになったベッドが見えて…ビルの中は初めて見る物ばかりだったから、怖いのも時間も忘れて夢中で探検して「ハッ(゜ロ゜)」と気づいたら、お日様は
…ほとんど沈んで薄暗くなり始めていたんだって。みんな心の中では、今から帰る道のことを思うと心細くなったり、親に叱られることを考えると憂鬱になったけど、誰も口に出さずに、落ちていたきれいな色のタイルを記念に持って、大声で歌を唄ったり、しりとりをしたりしてわざと明るくしながら、引き返したんだって。途中から周りはすっかり暗くなって…道端に咲き始めた一面のオオマツヨイグサの黄色い花がお月様に照らされて、道案内をしてくれているのがせめてもの救いだったんだって。みんな無口になった頃、遠くから「おーい」「○○〜」って自分たちを呼ぶ声と懐中電灯の光が見えた時は、嬉しくて嬉しくて、自分の名前を呼ぶ家族のもとへ「ワーン。・゜゜(ノД`)」て無事戻ったんだってさ。もちろん、みんなそれぞれ家族に凄く叱られたみたいだけどね〜。今の季節の夕方「オオマツヨイグサ」が咲くと思い出す、ちょっと苦いけど懐かしくなる出来事なんだって。
今日の写真は、朝の散歩で立ち寄った集会所の遊具からぼくの大好きな子供たちの匂いがするから、嬉しくて匂いを嗅ぎまわっているところだよ。

*1:o( ̄ー ̄)o