道…1

お母(かあ)が小さい時は、大きな道がほとんど無くて、遠刈田温泉から「三住」の元になった三軒の家の前を通って白石市に抜ける道と、遠刈田温泉白石市を結ぶ白遠(はくえん)道路しかなかったんだってさ。どっちも鋪装されていなくて凸凹道で砂ぼこりが舞い上がって…そんな道を、毎週白石市内の八百屋さんが、スピーカーをならしながらオート三輪車で行商にくるんだって。三住にも中小合わせて4軒のお店屋さんがあったけど、新鮮な野菜や果物を持ってくる行商の車は楽しみのひとつだったんだよね。お母(かあ)が何年生の時だっただろう…暑い夏の日母ちゃんが、でっかいスイカを買ったんだ。お母(かあ)はそのスイカを持ってみたくて母ちゃんが「重でがら(重たいから)駄目だ!!」っていうのもきかないで「自分が持つ」って言い張って、スイカを抱えて坂道を我が家目指して歩いたんだけど、あとちょっとで着くという時に重さに耐え兼ねて凸凹の砂利道に落っことしちゃったんだ( ̄□ ̄;)!!
母ちゃんがどんなリアクションをしたのか、そのスイカをどうしたのか、全く覚えていないんだけど「ほらみろ!!」って言われたことは確かで、そのスイカが見事にグシャッと割れたのも確かで…大切なお金で買った大切なスイカだったという記憶だけが残っているんだって。自宅から大きな道に出る時は、他所(よそ)の家の前を通らないと行けなくて、親が「通らせてくない(ください)」って必ず声をかけていたから自分達も見習って「通らせてくない」って挨拶して通っていたんだよ。そのあと七ヶ宿に抜ける広い道路ができたし、農道やその他の道路も改善されたから「通らせてくない(ください)」なんて他所の家の庭先を通らなくてもよくなったんだ。でも、色んな小道があったそんな時代も良かったなぁ〜って時々思うお母(かあ)なんだよ。
写真は、すっかり雪と氷に閉ざされた農業用溜め池。